やはり、そういうことになってるよね。どう見ても副社長と受付嬢たちが楽しそうにしていた所に、妨害しに入った様にしか映らないもんね。


「ごめん、迷惑かけてるよね。私」

「で? 本当の所は、どうなんですか?」


 晴海ちゃんは興味津々と言わんばかりに目を輝かせている。
 そうか、リュウと仕事を始めた私をこの場所からいつも見ていたのだから、何となく察しはついているということなのかもしれない。そのうえで、副社長との仲を確認したいのか。


「別に、副社長とは何でもないよ」

「ホントですか?」

「うん」


 思わず反射的に晴海ちゃんから視線をそらしてしまい。慌てて視線を戻すと既に晴海ちゃんは、全てを悟ったかのような顔を私に向けていた。


「な、なによ?」

「分かりました。そういうことにしておきますね」


 ニッコリと営業スマイルを向けられた私は、その場から逃げるように離れ職場へ向かった。が、結果的には疑いの目から逃れられたわけではなく。
 新たな視線を向けられることになるだけなのだ。

 誰とも視線を合わせず自分のデスクに座り、息を一つ吐く。今日は隆好が出社すると聞いている私にとって、溜め息交じりになってしまうのも無理はないのだ。