ううっ、どうしよう。

方向がわからないからむやみに動けない。


「誰かーーー!」


叫んでみても、自分の声が響くだけ。


「ううっ……」


私、このままコテージへも帰れず、森の中でさまよいながら一晩過ごすの?

そう思ったら、涙が込み上げてきた。

優しい真柴くんの告白を断って、伊緒くんから逃げ出した罰だ。

溢れる涙をぬぐいながら、自業自得だと思っていると。


「……モーーーー」


人の声がした。


えっ……。

誰かが私を呼んでる?

そう確信した私は、


「おーーーーーーい!」


立ち上がって、力の限り叫んだ。

お願い、気づいてっ……。


すると、細い明かりがこっちを照らして。


「モモっ!!!」


これは伊緒くんの声だ。


「伊緒くんっ……! きゃっ……!」


走り出したら木の枝に足がひっかかってつまずいてしまった。