走って走って走ったら……


「あれっ? ここどこだろう」


いつの間にか森の中へ迷いこんでいた。

辺りを見渡しても、木、木、木。


「やだっ……」


山登りの時と一緒で、舗装された道はないし、ぐるぐる見渡していたら自分がどっちから来たのかもわからなくなっていた。

明かりひとつなく、とにかく真っ暗。

バザバサッ──と頭上で何かが飛び立ち、


「きゃーっ!」


悲鳴を上げて、頭をかかえその場にしゃがみ込んだ。

こわい……こわいよ……。

なにか明かりになるもの……そう思って着ていたパーカーのポケットに手を突っ込んでもスマホはない。

……そうだ。男子の部屋へいくとき、必要ないと思って自分の部屋に置いてきちゃったんだ。