キャンプ中、私が元気がなかった原因をきっとわかってくれてたんだよね。

優しすぎて、涙が出てきそう。

と、そのとき。


「モモ……っ!」


闇の中から声がした。


えっ……?

遠くからでも、ハッキリわかるこの声の主は。

……伊緒くん!?

振り返ると、ものすごい勢いで伊緒くんがこっちに向かって走ってきていた。

うそっ、なんで!?


「やっ……!」


ビックリした私は、思わず駆けだしていた。

猫に見つかったネズミみたいな早さだったと思う。

わき目もふらずに一目散に逃げたんだ──