「あらま、そんなに濡れて。雨が落ち着くまで雨宿りしていきな!」


道路わきの家で、家の中から雨戸を閉めようとしていたおばあさんが指さすのは、屋根つきのガレージ。


「そこ今車ないから。遠慮せずに入って!」


シャッターが開いたガレージは、中は空っぽで。


「すみません、お借りします」


おばあさんのご厚意に甘えることにした。

車1台分のガレージに、私たちは身を寄せる。


「助かったね」

「ああ。やばいな、この雨」


腕についた雨水を払いながら。

閉じた傘の先からは、水道の蛇口のような水が流れ出ていた。


「ほんと……バケツをひっくり返すような雨ってこのことだね」


視界はかすんで、数メートル先も見えない。

こんななか帰るのは、無謀かも。