すると、雨音が急激に大きくなったような気がした。
矢のように落ちてくる雨が、地面に突き刺さって跳ね返ってる。
「うっわ、なにこれ、ゲリラ豪雨!?」
雨って強くなる時はほんと一瞬だ。
とてもじゃないけど、ひとつの傘にふたりで入ってしのげるような雨じゃない。
むしろ、傘なんか役に立たない。
あっというまに足元にも水が溜まってきて、もう洪水の中を歩いているみたいになった。
「ちょっと急ごう」
歩幅を速めたそのとき。
目の前で稲妻が見えた。直後。
──ゴロゴロゴロッ……!!
「きゃっ!」
地割れのような音が響き、思わず隣を歩く伊緒くんにしがみついた。
「大丈夫か?」
「……うん」