すると、健太くんが改めるかのように、口を開く。



「友達じゃない」

「「え」」



頭の中で意味が、何となく繋がるその台詞に、私も楓と同じく、彼女の後方で驚く。



「別に海藤と仲が良いから、つるんでる訳じゃない。勝手に向こうが絡んできてるだけだ」

「いつも一緒に居たりしてたのに?」



楓も珍しく動揺している。



「教室の中だけの関係じゃないっすか。掃除だって、真面目にしてるの俺だけで、2人でしたこともないし。体育でペアになることも無い。話し掛けに来るのだって、毎回って訳じやない」



そこで、ぐっと言葉を止めた健太くんは私を一瞥した。

そして、溜め息を吐く。



「海藤が俺のところに来る時は、決まって『栗山さん』に用がある時。それだけ」



私のことを、ってなんだか、それって。

――健太くんのこと……。

胃がムカムカする様な、不愉快な気分だ。



「俺、あいつに利用されてますよね、これ」



自分で自分を呆れるように、笑う。

何故か、私の方が辛くなってくる。

掛ける言葉に困っていると、健太くんの悲しげな瞳と視線が合う。

何と声を掛けようか、言葉がまとまらない私に、健太くんが言った。



「くり……華世ちゃんには、一度でも怖い思いさせちゃったから。ごめん、本当、鈍臭くて」