正直なところ、私には、まだ異性に対する「本気の好き」が分からないけれど。
その気持ちが、どれだけの強さを持つのかすら、分からない。
それでも、いつかは私もそういう気持ちを知って、そして、そんな私を特別だと想ってくれる人に出会えたらと憧れ続けている。
そして、あの子だって、何となくで好きな訳ではない筈。
手紙を海藤くんに渡したい、あの子は泣く程なら、そんな中途半端な伝え方はしちゃいけない。
──という意図が、皆さんに伝われば良いんだけれど。
私があまりにも口足らず、口下手な為に、思った通りのことが、上手く言葉に出来ないのが、非常にもどかしい。
──でも、こんなにも長々と話したって、言いたいことは伝わらないだろうし、そんなこと知ったことじゃないって、片付けられそう。
何より、この不穏な空気が、私の話なんて、まともに聞いてくれないということを、物語っている。
「とっ、ということですので。私はこれで……」
「それって、自分が責任押し付けられたくないだけじゃん」
「え。いや、私は、ただ応援したいだけで……」
「上手くいかなかった時に、自分のせいにされたくないから、やらないだけでしょ!」
「いや、違っ……」
「綺麗事、並べちゃって。偽善者ぶるなよ!」
何故、そういうことになるのか、理解出来ない。
そもそも私は、いつ綺麗事っぽいことを言ったかな。
全く記憶に無いのに。