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チャイムが鳴り、日本史の教師が声を張り上げた。
「本日は、ノートチェックの日だ。本日分まで、しっかり黒板を写すように! 出来ている者は、これから先生が回収しに行く。まだの者は、社会科係に預けてくれ」
そう言って、机と机との間をゆっくりと歩いていく。
そして、私の真横でピタッと止まった。
「栗山さん」
「はいっ」
「集めたら、職員室まで持ってきてもらえるかな」
「わかりました」
そうです、私が社会科係です。
とにかく先生が去って行った後、時間を置いて、1人ずつ確認してノートを集めた。
ようやく集まったノートの束を抱える。
すると、楓がフラフラっと、こちらへやって来た。
「職員室まで持ってくの、私も手伝うよ」
「ううん、1人で大丈夫。ありがとう。寝不足なんでしょ。楓は休んでた方が良いよ」
「うーん、本当に1人で大丈夫?」
「いいよ。さっきの歴史の授業も爆睡してたじゃん」
「くっ、バレてたか。でも、途中で起きて、黒板写し、巻き返したからね」
「偉い、偉い。じゃあ、行ってくるね」
「いってらっしゃーい」
手を振られて、振り返す。
そうして、1人で教室を出た。