「それでも、どんな所でも飛んで行きたいの」
言葉に詰まり、兄は何にも言えなくなっていた。
「・・・・」
「ごめんなさい。でも、兄ちゃん聞いて」
「わたし、涼介のこと、大好き。運命的な出会いだと信じているの」
「どんなに反対されても、信じてついていきたい」
「一生の内、好きな人に出会い、恋が愛に変わる、そんなにないと思うんだ」
「そうだなぁ」
やっと、ひと言、口にしてくれる。
「兄ちゃん、ありがとう」
「ゆき乃、頑張れよ。いつでも、俺はお前の兄ちゃんだから」
「困ったら、いつだって、胸に飛び込んで来い」
これまでの想いが浮かんできて、涙が落ちていく。
本当は、彼の胸にもう一度抱かれたかった。
お兄ちゃん、さようなら・・・