「ゆき乃、あんた好きな男の子いる?」 「私たち、男子校のイケメンとデートしたんや」 「ねぇ、あんたの好きな男の写真を見せてえーや」 けれど、見せることなんか、出来ない。 廻りの同級生は 他の学校の男の子に恋焦がれる 楽しい高校生活を向かえてゆく。 それなのに…… やっと、スマホの待ち受け画面から ずっと、大切にしてきた兄の写真を切り取れた。 そうして、絶望の淵から少しずつ立ち上がってくる。