「お兄ちゃん、ごめんなさい」
本当は、そんな遠くへ行きたくなかった。
けれど、言わなくはならない。

「うん、ふたりで飛んで行きたい」
「そうか……」
兄と妹という関係は、ずっと、不思議な関係だと思ってきた。

今でも、兄ちゃんのこと、大好きな気持ちは変わっていない。
けれど、それは、男としてではなく、兄として。
もう、そんな気持ちにならなくてはいけないのだ。