「ねぇーちゃんと、聞いてる」
「・・・・」
何故か、兄は黙っている。
口をきいてくれない。

「わたし、恋の苦しさも知ってるの」
「早く、こんな家を出ていきたい」
「両親だけが勝手に決めた約束なんか」

「ゆき乃、ごめん」
ようやく、寂しそうな顔で呟いてくる。
わたしは正直な気持ちを話していく。