「あきちゃんはさー
どんな人が好きなの?」


たわいもない話。
いつも変わらない

誰が好きなのとか
誰が付き合ってるとか


「うーん…わかんないや」


わからなくない。
私の好きなひとはあの人だけ。


「ふーん」


私のトモダチは
絶対私の好きなひとは分かってる。

だって…


「あー!!!リョウさんだ」

「こんにちは。なにしてるの?」

「何しようかなぁって考えてたんですぅ」


ほら
まただ。

私の好きなものは
すぐバレる。


「リョウさんはどこか行くんですか?」

「軽くお腹すいたから
ちょっと食べに行こうかなと思ってて
一緒に来る?」

「いいんですか!!
あきちゃんも行こう、ねっ!」


グイグイ引っ張ってくトモダチ


いつものカフェ
そんなに人も多くない。


「ついてきてもらってるし
好きなもの食べて」

「わぁーありがとうございますゥ〜」


ペラペラと私の隣で
メニューを見ている

私なんて
ドキドキしてそれどころじゃないのに…


「あきちゃん?だっけ…
ありがとうね。好きなもの頼んでね」


ニッと笑う彼
私の胸がまたドキッとする。


「ありがとう…ございます。」


結局私は緊張して
飲めもしないコーヒーを頼んでしまった


「ここのケーキ
めちゃくちゃ美味しいですね」

「でしょう?俺も好きなんだ」


ケーキ


すきなんだ。


「リョウさんは甘いものすきなんですね
今度わたし作ってきますね」

「楽しみにしてるね。」



これ
私が作らなきゃいけないんだろうな…







「美味しかったぁ〜」

「良かった。」

「あ…ありがとうございました。」

「気に入ってもらえて良かったよ」

「あ!
わたし聞きたいことあるんですよォ〜」

「ん?なになに」


また余計なこと…



「リョウさん好きなひといるんですか?」

「好きなひとかー」


えっ
目が合った…?


「ないしょ」

「えぇ〜そんなぁ〜」

「ユイちゃんかもよ」

「え!!本気にしちゃいますよぉ〜」

「冗談だよ。でも秘密
ユイちゃんバラしちゃうでしょ?」

「でも好きになってほしいなぁ〜」


チラッとこっちを見てくる。
ほらやっぱりね…


「わかんないな。
そろそろ出ようか?」

「また連れてきてくださいね!
今度はわたしが奢ります」

「ありがとう。
またね」



お店の前で別れて
私は1人家に帰ろうとしていた。


「あきちゃーん」


誰か後ろから走ってくる
振り向くとリョウさん


「はぁーはぁー
あきちゃん、今日つまんなかった?」

「えっ?
そんなことで
追いかけてきてくれたんですか…」



首を振るリョウさん。


「気になった…のもある。
けど用事は違う」


いつものニコッと笑う彼は
私の前にはいない。


「さっき、好きなひと聞かれたのさ
俺あきちゃん好きだよ」

「えっ?あっ、ありがとうございます。
わざわざ……」


お世辞でも嬉しい。
こんな一生懸命走ってきてくれて


「勘違いしてない?
俺の好きはlikeじゃないよ
Loveの好きなんだけど」

「うそ…えっ………」

「俺が気づいてないと思った?
知ってたよ」


今度は意地悪な笑顔で笑う。


「あきちゃん
俺と付き合ってください!」



泣きそうだ。
こんなに幸せになっていいのかな


「あきちゃん?」



言葉が出ない。
でも出来ることの精一杯


彼の大きなあったかい手を握る


「まぢ!!!!ほんと!!!
やっばっ…俺泣きそ」


2人でうるうるしてる
誰もいないかえりみち

やっと
憧れじゃなくなった。


「これから……よろしくお願いします」


涙が頬をつたう
あったかい手が私の頬をつつむ


「よろしくね」