「あっ、来た来た!ゆらの、遅い!」

ヘロヘロになりながらも何とか遅刻せずに学校に着くと、翼ちゃんがわたしの元に駆け寄ってきてくれた。

「つ、つばさちゃ〜ん」

マラソン選手がゴールテープを切って倒れ込むように翼ちゃんに抱き着くと、翼ちゃんは細いのに力強い腕で抱きとめてくれた。

「どうしたの?ゆらの、いつも学校来るの早いのに。何の連絡もないから心配しちゃったじゃない」

ズルズルとわたしを引きずって席につくと、わたしもヨロヨロとすぐ後ろの席になだれ込んだ。

「そ、それがねぇ…」

金髪の君の夢を見たところから、告白の目撃者(野次馬)になったところまで正直に話すと翼ちゃんは呆れ顔で

「夢の話はともかく、告白の野次馬はダメでしょーが!」

テイッとわたしの頭に翼ちゃんの手刀が刺さったのだった。

「…うん。それは、もう、反省してます…」

あの可愛い女の子の立場になって考えたら、失礼極まりない行動だったよね…。