「ねぇねぇ陽奈ちゃん」

「どうしたの?」

「理人って、だぁれ?」

「え、まさか知らないの?」

「うん!知らない!」

我ながら学園の人気人物には疎いからね〜!

「あははっ。やっぱ面白いわ。理人は、すごいモテるけど、女遊びがひどいって噂が立ってるヤツなの」

「へぇ……」

女遊び……。

「あ!だから、理人には気をつけなさいね」

「うん!私は久遠くん一筋だから、大丈夫!」

「ふふっ、そうね」

私が好きなのは、いままでも、これからも、久遠くんがいいな。



それから、ルンルン気分で授業を受け、いまはお昼休みだ。

「……天音」

「……!?久遠くんっ……!?ど、どうしたの?」

「昼飯、一緒に食お」

「へっ!?いいの!?」

席に座って、お腹も空いてなくてボーッとしていると、久遠くんがそう話しかけてきてすれたのだ。

「……いいって言ってる」

「わ、わかった!じゃあ、屋上で食べないかな?」

「ん」

えへへっ……!やったぁっ!

今日は陽奈ちゃんも委員会の仕事で忙しくて、ちょうど一人ぼっちだった。

そして、久遠くんとともに屋上に向かい廊下を歩いている。

「わぁっ……!?冷酷王子と天使さまが一緒に歩いてる」

「なにあれめっちゃ絵になるんですけど!!」

「俺たちの天使さまがぁぁぁ!」