不良さんたちは、言葉をつまらせ早々と退散していった。
その瞬間、足に力が入らなくなって膝から崩れそうになった。
しかし、
「あっぶねぇ、」
さっきの先輩らしき男の人に支えられた。
「あ、ありがとうございます。
助けてくれたのも、ありがとうございました。」
お辞儀をしてお礼を言う。
「いーよ。それより、はい」
雨で濡れてしまっている栞を綺麗な白いハンカチに包んで渡してくれる。
「大切なものなんだろ、もう落とすなよ。」
そう言って、立ち去ってしまう先輩。
ふわっ、と吹いた風に煽られる先輩の綺麗な茶髪。
去っていく、
その後ろ姿は昔お兄ちゃんの影響で見ていたアニメの、
ヒーローのようだった。