教室まで何気無い会話をしながら歩いていく。


あ、


せ、先輩だ。


ど、どうしよ


向こう側から歩いてくる先輩を見つけて焦る。


今、先輩にあったら、作戦が台無しになってしまう。


「ご、ごめん樹くん、先に教室戻ってて、」


「え!?あっ、ちょっ、待てよ、花っ!」


叫んでいる樹くんを無視して走る。


まずい、まずい


せっかく先輩に会うの我慢してたのに、


無我夢中で走っていたら、中庭に繋がる渡り廊下に来ていた。


ふわっ、と吹いた風。

頬撫でるようなその風に昔の記憶がよみがえる。