映画の内容は簡単に説明すれば、こうだ。
大学生の時に知り合った男女。趣味や好きな物が恐ろしいほどに一致して意気投合した二人は恋人となり、お互い就活を経て手に職をつけ、同棲を始める。
二人とも結婚という目標に向けて日々 仕事に打ち込んでいたが、些細なことからすれ違いが耐えなくなって、破局してしまうというものだった。
賛否両論がある内容だと思う。
最後の最後で復縁するオチだろうな、と思いながら見ていた俺には、破局するというラストが少し驚きだった。
生々しいというか、リアルというか…。
なんだか、本当に存在していた恋人たちの始まりから終わりまでをじっくりと見たような、そんな気分だった。
まぁ実際、こんな風に些細なすれ違いから別れてしまうカップルはごまんといるんだろう。
そんな事を考えながらエンドロールに向けていた視線をふと隣に座る里茉に移した瞬間、俺はぎょっと目を見張った。
「う゛~……」
「……は?」
隣に座る里茉はボロボロと大粒の涙を零し、頻りに服の裾でその涙を拭いている。
一瞬、何が起こっているのか理解するのに時間がかかった。
里茉が泣いているところなんて、滅多に見ないから無理もない。