―――ピンポーン


チャイムを鳴らして待つこと数秒。

中からパタパタという足音が聞こえた刹那、目の前のドアがガチャリと開いた。


「っねえ!ジョニー何が当たった?」

仮にも2日ぶりに会う彼氏に向かって、開口一番にこんな事を聞いてくる女はきっと世界中でこいつだけだと思う。

ちなみにジョニーというのはさっきガチャガチャのサルの名前だ。


「知らねえ」

サルが入っているカプセルをポケットから取り出し、手渡す。それを受け取った里茉は早々に中身を確認して、歓喜に染まった声を上げた。


「えっ!エプロンバージョンじゃん!めちゃくちゃ可愛い~っ」

チラリと視線を送ってみたけれど、やっぱりそのサルはニタニタしていて気持ち悪かったし、恐らく雄であろうサルにフリフリのエプロンを着せている意味もよく分からなかった。

きっとどれだけ説明されてもどこが可愛いのか理解できないと思う。


「ありがとう、皇明!」

「…ん」


…ま、こいつが喜んでるならそれでいーけど。


ルンルンと鼻歌でも歌いそうなテンションで部屋の奥へと足を進めた里茉の後に続く。

里茉は迷わずタンスまで足を進めて、そのタンスの上、少しの振動が加わればあっという間に落下してしまうであろう際どい所にそのサルを吊るした。


「今日 夕飯までどーする?」

上着を脱ぎながらそう問いかければ里茉は「あ、そうだ!」と何かを思い出したような声を上げて此方を振り返った。