「ぶっちゃけ皇明んとこって、どんくらいの頻度でヤッてんの?」
何を思ったのか、真昼間からいきなりそんな事を聞いてきたそいつに、思わず眉を寄せながらも口を開く。
「逆に聞くけど、お前はどんくらいなわけ」
「え?俺は会う度、毎回」
当たり前のようにケロリとした表情でそう言われて、口をあんぐりと開けるしか無かった。
会う度?
毎回?
まじかよ、こいつ。
思わず「…サルかよ」と呟いた俺にそいつは「いや、サルはお前が持ってるそれだろ」と、吹き出すように笑った。
「なに、皇明ってそんな性欲ねえの?」
「…いや。余裕で、ある」
だから厄介なんだろ。
性欲とか、恋情とか、そんなもんを俺が持ち込んだから。
だから俺たちは“幼なじみ”じゃ居られなくなった。
「……、」
今でもたまに、思い出す。
あの河川敷、泥だらけの制服。
今にも泣きそうな顔で『ずっとこのままがいい』と口にした里茉を。
「…欲とかそんなもん、なかったら良かったのにな」
「え?なんつった?」
「…や、なんでもねえ」
不思議そうな表情を浮かべるそいつを横目にそう答えながら、手の中のカプセルをポケットの中に突っ込んだ。