「こういうよく分かんねえのを集めるのが好きだから、あいつ」

「へえー。面白いな、皇明の彼女」


まじまじとカプセルの中を見つめていたそいつは数秒後、満足したのか「ほい」と、それを俺に返してから、すぐに言葉を続けた。


「もしかして彼女にガチャガチャしてきてって頼まれたとか?」

「まーそんな感じ」

「それでわざわざ足運ぶとか、お前優しいね」

「優しいとかじゃなくて、行かねえと絶対駄々こねるからあいつ」

「うっわー、その“なんでも分かってます感”やべえ、さすが幼なじみ。超いいよなー」


出たよ、“いいよなー”。


「幼なじみとかなんもよくねえよ」


小さな声でボソリと呟いた俺にそいつは目を丸くして「なんで?」と首を傾げる。その姿を横目に見ながら、溜め息混じりに口を開いた。


「恋愛対象に見られるまで10年以上かかった」

「は、?え?」

「エ ロいことすんのはそっからさらに1年」

「ええぇ?」

「男として見られねーから、マジで」

「いや、お前のこと男として見ない女とかいんの?」

「は?そりゃいるだろ」


実際、里茉がそうだし。

そう付け足した俺に、そいつは「マジかー」と何故か頭を抱えた。


「幼なじみとの恋ってそんなムズいのかよ」

「まぁ俺の場合は、だけどな」


里茉が毛ほども恋愛に興味が無いっていうのも起因してんだろうし。


なんせハタチにもなってニタニタ笑っているサルのマスコットを集めるような女だからな。一筋縄でいくわけがない。