駅は同じ学校の生徒で溢れかえっている。

中等部、高等部会わせると500人以上が、似たような時間にくるんだから当たり前なんだけど、
いつも壮観だと思ってしまう。

またぼんやりしてると

「みちる。そろそろ起きろよ」

と直が私の頭に手を置いていう。

「ちゃんと起きてるもん」

恐い顔で直を睨むと、後ろから

「みちるっ直くんおはよう!」

と声をかけられた。

改札から走ってきたのか、息を弾ませてやってきたのは、
藤原結花だった。

「おはよう〜」と声を揃えていう私と直。

結花は中等部でできた友達で、すっごく明るくていつも笑顔の女の子。

中等部からのクラスメートはみんな仲良しだけど、結花とはとくに仲がいい。

結花の笑顔を見ると私まで明るい気持ちになる。

「結花、なんでこんな時間にいるの?」

直が聞く。そういえば結花はいつもだったら部活の朝練のはず。

「今日は休み!みんなに報告したいことあってさ!!」

「つまりサボりか」

「ひどーい直くん!いいのっ、いつもは真面目なんだから!」

結花は笑いながら直と話していたが、
私たちの前に回り込んで、わざとらしい咳ばらいを一つして、

「ワタクシ、昨日彼氏ができました!!」


といった。