私たちの通う学校は、最寄りの駅から電車で15分。

中等部から同じ学校。高等部になっても知った顔ばかりでかなり楽な高校生活だ。

中等部へは受験をして入ったわけだが、
この受験も、私と直の両方の母親からの命令。

私も直も、中学校一般に対する興味なんてなかった。
ま、普通の小学生ならみんなそうだと思うけど。

だからこの中学校を受験しなさいっていわれても、嫌ともいいとも思わなかった。

直と週末軽い気持ちで塾に通って、軽い気持ちで受験をした。
それでも2人で受かった時はうれしかったな。

実は受験の時も、忘れっぽい私は受験票を家に忘れてきてしまって、
軽い気持ちだった私もさすがに青ざめた。

---その時は直が本部まで一緒にいってくれたんだっけ…

「青木、大丈夫だから。」

っていった直の横顔はいつもより大人っぽくて、別の人みたいだったな---

「…ちる!みちる!!」
突然名前を呼ばれて私はびっくりして足をとめた。

…と、目の前には改札。
「みちる何ぼーっとしてんだよ?定期は?」
もう駅についてたんだ…。


慌ててかばんを探すと、奥底で教科書に潰された定期入れが見つかり、のろのろと改札をくぐる。

「電車もう来るぞ。はやく」

直にせかされ、軽く駆け足でホームにむかう。