だらだらと歩きながら、改札をくぐろうとすると、

「青木?」

と後ろから声をかけられた。

振り返ると坊主頭の男の子が笑っている。



……

「あっ!久保田くん!?うわー久しぶり!最初わかんなかったよー」

久保田くんは小学生時代の同級生。

見ての通り野球少年。野球ヒトスジ。

「まだ野球やってるの?」

「おう!もちろん。今は海明館で野球やってるよ」

「海明館!?すっごい名門じゃん!」


「しかもレギュラー」

久保田くんはピースサインで笑った。

「すごいね!モテるんじゃない?」

「いやー、男子校だからねー、むさ苦しい声援ばっかり。あれは雄叫びだよ」

「確かに応援団って野太い声かもー!うける!」

私は久保田くんの言葉に爆笑してしまい、滲んだ涙を拭うと、ふとあることを思い出した。


これはチャンスかも……


「ねえ久保田くん、今度合コンしない-----?」