「名前……、なんで知って……」
「は?そりゃ同じクラスなんだから知ってるに決まってんだろ」
さも当たり前のような顔をしてそう言う彼だけど、わたしはそれを当たり前だなんて思えない。
「だ、だってわたし、存在感ないし……」
今日だって、誰とも会話を交わせていないのに。
「そうか?可愛い子がいんなって俺は思ってたけど」
「っ……!?」
急にそんなことを言われて反応してしまった。
けど、思わず見つめてしまったその清瀬くんの顔は、さっきと同じ満足げな表情で。
「や、やっぱりイヤな人……!」
その表情で明らかにわたしをからかって面白がってるのが分かってしまって、咄嗟に大きな声が出た。
「2回も言うか?ほんっと、イイね、あんた」
「な、なにが!?」
あーもう。人見知りなんてしてる場合じゃない。
イヤだ、この人。ペース呑まれちゃう。