「俺なんかより、もっとふさわしい人がみぃにはいるよ」
「………」
ほら、またそうやって。
アキちゃんはズルい。
大人って、ズルい。
でも、そう言うところも含めて、大好きなんだよ。
「今日はもう帰りなさい」
「……はい、先生」
わたしにそう告げると、アキちゃんは教室を出て行った。
その後ろ姿を見るだけでこんなにも胸は締めつけられるのに、どうしてわたしじゃダメなんだろう。
わたし、月島美瑚(つきしまみこ)とアキちゃんは、家が近所の幼馴染。
アキちゃんはわたしよりも10歳年上の26歳で、幼い頃からわたしの大好きな存在だった。
好きで、好きで、大好きで。
高校2年生になった今日、新しいクラスの担任がアキちゃんだとわかったのが嬉しくて、3度目の告白をしたのに。