「…もうそろそろ、帰らないとだね」
悲しいけど、お別れだ。
空は暗くなり始めている。
中学校から離れるたび、街はにぎやかになっていった。
もうすぐ近くのショッピングモールで、イルミネーションが点灯する。
これは毎年のことだった。
きっと、サンタさんがチラシを配っていたイベントは、ここのショッピングモールで開催されるものだろう。
ショッピングモールを通り過ぎて、人通りがすくなくなってきた頃、腰あたりの服をキュッと引っ張られて、慌てて立ち止まった。
「……あの…すみません」
私の服の袖を引っ張ったのは、小さな男の子だった。
その後ろには、もうひとり小さな女の子が、涙目になりながらこちらを見つめていた。
女の子は男の子より小さい。
…兄妹かな?
少し不安げに瞳を揺らす男の子の視線に合わせるようにしゃがむ。
「どうしたの?」
迷子…?
優しく問いかければ、男の子は少しだけ安心したように眉を下げた。
「こいつを、トイレに連れていってくれませんか?俺じゃぁ、嫌がるんで」
男の子は後ろにいる女の子の背中をおして、前にだした。
しっかりしたお兄ちゃんだなぁ
こんなに小さい子が頼ってくれたんだもん。
「わかったっ」
お姉ちゃんとして、頑張らなくちゃっ