中学校の門の前につく頃には、空は暗くなる前の色をしていた。
その色はやがて真っ黒になって、そしたら織とはもうバイバイなんだ。
そう思うと辛くなるから、考えないように必死だった。
校舎はシーンとしていて、人がいる気配は感じられない。
錆びた正門に手を触れる。
すごく冷たかった。
「……なにも変わってないね」
だって、まだ私達が卒業して一年も経ってないもんね。
目を閉じなくても思い出す。
皆と笑いあった日々、それから、本を読んでいる時の、織の横顔。
自転車置き場にたくさん自転車が並んでいて、廊下をドタバタ走る音が聞こえてきて、
先生に怒られたりして、わたしはそんな日々が大好きだった。
織に名前を呼ばれるのも、お昼休み、くだらないことで笑うのも、だいすき。
なのにどうして、わたし達はこんなに遠くを歩いているんだろう。
中学校の門の前まで来ると、織の笑顔は消えていた。