最後は、私が一番思い出深い中学校。
向かう足取りは、ふたりとも遅かった。
街ゆく人のほとんどは笑っている。
恋人と手をつないだり、家族でケーキ屋さんに並んだりしている。
お店の看板には、クリクマス限定メニュー!と書かれたそばに、サンタさんの絵が描かれていた。
…いいなぁ、楽しそう
前を向くと、サンタさんの服を着た人が、なにかを配っている。
小さい子供が嬉しそうにそれを受け取って、家族と一緒に歩いていった。
あれなんだろう?
気になって見渡してみると、サンタさんの近くに大きな看板がたっているのが目についた。
そこには、無料!ショッピングモールで開催!ゲームでクリスマスプレゼントをあてよう!と大きく書かれている。
む…無料!!
じゃぁお金持ってなくてもできるんだ!!
これなら織と一緒に……
そう思いながら看板に目を通していくと、18時から!という文字に赤い線が引いてあるのが見えて、肩をおとす。
……なぁんだ
18時はきっと、もう暗いから、私は家に帰らなくちゃいけない。
サンタさんがチラシをくれようとしたけれど、わたしは断った。