続いてやってきたのは、小学校。
小学校に向かう途中、だんだんと織の足取りが軽くなっていくのを感じた。
小学校の近くに来た途端、校舎からピアノの音が聞こえてきた。
明るくて元気なメロディを聞いていると、なぜか皆が歌う光景が頭に浮かんでくる。
しばらく聞いてから気がついた。
「この歌きいたことあるっ」
「私達もこれ歌ったよね!?」
「あははっ…思い出した!織は一生懸命ちゃんと歌ってるのに、先生がちゃんとやりなさいって怒るから、私が逆ギレしたんだっ!」
ぽんっと頭に浮かんだのは、すごく懐かしい思い出だった。
織は眉間にしわを寄せて、ふぃっと顔を逸らした。
「……トラウマ」
「あっごめんっ」
「…ふっ…まぁでも怒られたことより…」
「ん?」
「俺は立夏がブチ切れてたことの方がよく覚えてる」
そう言って笑う織の笑顔はとても楽しそうで、嬉しそうで、やっぱり笑ってくれたって、そう思った。