けれど、いつまでも落ち込んでいられない。

落ち込んでいるうちに、空が暗くなっちゃうもん。



「……わぁぁ…小さいなぁ」



初めにやって来たのは、私と織が一緒に遊んだ保育園。

先生と一緒に遊んでいる姿が見えるし、元気いっぱいな声も聞こえてくる。

思わず柵に手をついて、ふっと笑みが溢れた。

隣を見れば、織も同じように柵に手をついて、ぼんやりと小さな子供を眺めていた。



「……あいつ、一人でいる」



小さな声で、織はそう呟いた。



「ん?どこ?」



織の視線をたどれば、小さな男の子がポツリと一人でいる様子が見えた。

表情はあまり楽しそうではない。

どちらかと言えば、つまらなさそうに見える。



「〜〜くん!これ見て〜!」



服や頬に泥をつけた女の子が、男の子に明るく声をかけた。

女の子が手に持っているのは、丸い泥だんご。

さっきまであんなにつまらなさそうにしていた男の子は、ふっとはにかんで、それから女の子の後ろをついていった。

その様子を見て、ほっと安心した。



「……ふっ…」



ほっとする私の隣で、織は静かに微笑んだ。