すると、織は目を丸くして、それからキュッと口を結んだ。
どこか切ない笑顔だった。
そして私に背を向けて、織は2階につづく階段をのぼっていった。
すぐに帰ってきたかと思えば、モコモコしたなにかをたくさん腕に抱えている。
…ん?あれはマフラー…?
ぜんぶ白いから、なにがなんだか分かんない!
「そ、それどうしたの?」
驚きのあまり、ソファから立ち上がってそう問いかける。
織はソファに白いかたまりを置くと、それのうち一つを手に取った。
それを丁寧に私の首にまいていく。
…マフラーだ
ふわりと香る柔軟剤の匂いが、安心感と、ドキドキの両方を感じさせる。
「…ありがと」
マフラーをまくと、お出かけするんだって実感が湧いて、ワクワクしてきた。
…よぉーしっ
なんとかして、織と一緒にイルミネーションを見るのだ!
やる気満々で玄関の方へ足を進めようと一歩踏み出したとき、「立夏」と、織が私の名前を呼んだ。
不思議に思って後ろを振り返ると、織はあたりまえのことを言うかのように、真顔で言った。
「…あと、これと、これも、」
そう言う織の手には、上着が何枚もあって、それに加えて靴下も何枚も持っている。
「っ!!」
織ってもしかして…
「私を雪だるまにするつもりなんか!?」