舞結side


あ、朝斗くんだ。

校庭で体育をしている朝斗くんを見つけて、微笑む。

彼は一年六組の相原朝斗くん。

小学校が同じで、多分クラスでは一番モテてた。

スポーツ万能で、背も高くて…

何度恋したか分からない。

その点私はいっつも朝斗くんにツンツンしちゃって。

からかってくる朝斗くんに言い返しながら、よく笑った日々を思いだす。



姿を見る度、恋をして。

声を聞く度、目で追って。

好きだなぁ。

そんなことを思いながら、窓の外を眺めていると、国語の先生の声が響いた。

「このあと委員会だから各自会場に向かってねー。以上‼︎」

なかなかハイテンションな先生だよなぁ、なんて思いながら席を立つ。

委員会は何度やってもめんどくさい。

それは、中学生になっても変わらないのだ、と実感する。

帰りの準備を進めて、交流委員、と書かれたファイルを棚から取り出す。

準備が終わったかな、と思った時

「舞結」

ふっと名前を呼ばれて、振り返る。

「あ、逢良ちゃんっ」

「ふ、行こう、途中まで」

逢良ちゃんは、ふふっと笑って私を追い越していく。

私も追いつこうと早足で追いかける。

早乙女 逢良(さおとめ あい)ちゃん。

私の仲の良い友達。

まぁ、俗にいう親友ってやつ。

手先が器用で、声が大きくて、リーダーシップのある逢良ちゃんは、我がクラス一年

四組の学級長でもある。

学級長は、代議委員っていう委員会に入るようになってるから、私たちはここら辺で

お別れ。

「ジャネ、頑張って‼︎」

「うん、」

私は可愛く手を振る逢良ちゃんに手を振りかえし、短い返事をして背を向けた。

私の入っている交流委員会の会場は、第二理科室。

なかなか遠いんだよなぁ、と思いながら、私は委員会ファイルを持ち直した。