(また遅くなっちゃった…) そして、次の会う日がやってきた。 今日も前と同様で少しの残業。 「お疲れ様でした!」と、足早に会社を後にし、優には今から向かうとの連絡を入れようとした───時。 「伊織さん」 「っ、」 名前を呼ばれては、自然と足が止まる。 「………なんでしょうか」 「少し、話せない?」 近づいてくるその人に ジリッ…と後ずさる。 ……優に言われたから。 相手が既婚者だろうが、男は男だからね。って─…