「それから?」

「……握られた」


言葉通り、ギュッと、私の手を握る。


それはもう…とても優しく。

ギュッと。


「華。相手が既婚者だろうが、男は男だからね。……自分の事しか考えてないやつなんて、山ほどいるから気をつけて。」


そう言う優は

とても切なげに

苦しそうに顔を歪める。



それはきっと

自分がした過ちを思い出している時の顔だ。


その表情を見る度に、私は胸がキュッと締め付けられる。



優は許されてはいけないことをした。


けれど……彼だけが悪いわけじゃない。


話し合おうとしなかった私も、悪い。



あの時ちゃんと話し合っていれば……あの過ちは、起こるはずがなかったんだ。


「………これで消毒にでもなればいいけどね」




お酒のせいなのか


優の手はとても温かくて


「………うん」





自然と握り返してしまった私も




きっとお酒のせい。