同窓会も終盤になり、二次会に行く人行かない人で別れることになった。


もちろん私は次の日仕事があるため、帰ることに。



二次会に行く友達と別れて

1人寂しく会場の外に出た。



(うわ……雨降ってる)



天気予報では降水確率ゼロだって言ってたのに。



(まあでもここから駅まで遠くないし走ってでも…)



そう思ったけど、



(…………あっ)



奥の方で、傘を広げて


今にでも駅の方へ歩いて行こうとしている人。



駅まではさほど遠くない。

走って行ける距離。



だけど───────



「すみませんっ、」



声をかけて



「傘忘れちゃって……駅まで入れてくれませんか?」



そう言えば



「…………いいよ。」

「っ!あ、ありがとうっ…!」



良かった、断られなくて。


あの日と同じように『いいよ』って言ってくれた…



泣きそうになる気持ちを心に秘めて、1人分空けてくれた空間へ、1歩踏み出す。



「久しぶりだね…!」

「うん、久しぶり。」



少し気まずい中、何か会話をしないと。そう思って話しかけるのだけど、



目は、合わない。


優はずっと前だけを見ていた。



「仕事は捗ってる…?」

「うーん、まあまあかな。華は?」



久しぶりに名前を呼ばれると



「あっ、えと、……うん。捗ってる」



動揺してしまう。




やっぱり私は、

優に名前を呼ばれることが好きだ。