俺の行っている高校は、公立の共学校だ。

校舎の写真をパッと見せたら、五人中四人が『うちの学校かも』って答えるような、ありふれた学校。

水色のシャツにボーダーのネクタイに身を包んだ俺たちは、今日も皆同じように黒板を見て、同じように教科書とノートを広げ、同じようにシャーペンを握る。

決まりごとに埋め尽くされたこの世界で、ちょっとでも気を抜いたら、非適任者としてあぶれてしまうから。

そうならないように、暗い湖のような学校という組織の中に埋もれてしまわないように、先生の声に耳を傾け、周りに目を配り、息を潜めて窮屈な一日をやり過ごすのだ。

「市ヶ谷、これ解いてみろ」