九月一日の朝が来た。

胃袋の中に鉛が沈んでいるみたいに、体全体が重だるい。

それもこれも、一ヶ月ちょっとあった夏休みのせいだ。

一学期だって学校は憂鬱だった。だけど快速列車に乗って通過駅を過ぎるように、めくるめく毎日をやり過ごしていたら、いつしか終業式を迎えていた。

“学校に行かなくていい毎日”が、“学校に行かないといけない毎日”のつらさを教えてくれるなんて、皮肉なものだ。

重い体をどうにかベッドから起こし、制服のグレーのスカートを穿く。

白の半袖Yシャツを着て、クローゼットに取りつけられた鏡の前に立った。

肩までの黒髪セミロング。

高一にしては少し大人びていると言われるけど、自分ではそんなことわからない。

とにかく、高一には見えないらしいこの顔が嫌だ。

綿あめみたいにかわいくて、周りを和ませる雰囲気の女の子だったらよかったのに。

鏡の中の私は、ここ最近で一番死んだ目をしていた。

鮮やかなリボンの赤が、暗い表情と対比して痛々しい。

それでも通学鞄を持って、部屋のドアを出れば、私は今日も、死んだ目に無理矢理生気を貼りつける。