俺は膝を折ると、喋ろうとして口を開き、そしてすぐに閉じた。

今の彼女にかける言葉を、何も思いつかなかったからだ。

俺はさんざん考えたあげく、彼女との会話を思い出す。

「”かっぱらっぱ”、見てる?」

雨月は、露骨に眉をしかめた。

こんな状況下で、こいつどんな質問してんだって思ったんだろう。

「俺、君と同じくらいの年の弟がいるんだけど、毎日楽しみに見てるんだ」

すると、俺に弟がいるという状況に安心したのか、彼女はおずおずしながらも頷いてくれた。

「うん、見てる。ほんわかしてかわいいから」