俺たちは間もなくしてやってきた救急車に乗り込んだ。

歩けそうだけど、一応ストレッチャーに乗せられた一輝は、車内で救命士に処置をしてもらっている。

俺はその脇に座り、呆然としたまま、窓の向こうの景色に視線を馳せていた。

けたたましいサイレン音を響かせながら、車と車の間を縫うようにして、夜の道路を疾走する救急車。

まるで、夜風にでもなった気分だ。

やがて大学付属病院の救急外来に着くと、一輝はストレッチャーに乗せられたまま、処置室に運ばれていった。

俺は処置室の近くにある待合ベンチで、一輝の処置が終わるのを待つことにする。

いろいろなことが起こりすぎて、いまだ頭が混乱している。