だけどそこで俺は、先ほどからずっと頭の隅にあった違和感の正体に気づく。

そうだ、雨月は?

無事なのか?

慌てて辺りを見渡すが、雨月の姿はどこにもない。

跳ねられて車道の方に飛ばされたのかと生きた心地がしなかったが、見渡したところ、そんな様子もなかった。

雨月は、俺の前から忽然と消えていた。

「どこに行った……?」

「どうした?」

「お前がかばった女の子がいただろ? いないんだ」

「女の子? 何言ってるんだ、俺がかばったのはお前だよ」

怪訝そうな顔をする一輝を見て、俺は狐につままれたような心地になる。