「一輝!?」

急いで駆け寄ると、「う……ん」と一輝が唸りながら体を起こした。

「いてぇ……」

トラックがブレーキをかけたからか、ガードレールがあったからか、一輝が頑丈だったからか。

不幸中の幸いにも、一輝に意識はあるし、手足も動かせるようだ。

だけど口元から首筋にかけて血で真っ赤に染まっており、油断を許さない状況だった。

「きゃあっ、事故よ!」

「けが人がいるぞ!」

周りにいた人たちが、慌ててスマホで救急車を呼んでくれているようだ。

トラックの中から出てきた運転手は、顔を青くして俺たちを見たり、頭を抱えたりしている。

「一輝、大丈夫か?」

「顎が痛いけど、大丈夫そうだ。多分大した傷じゃないよ。それより、お前は大丈夫なのか?」

「俺はお前のおかげで、何ともないよ」

すると一輝は、血まみれの顔で、嬉しそうにニコッと微笑んだ。

こんなときまで、俺のことが大好きらしい一輝。

一輝の無邪気な姿に俺は心打たれると同時に、どうしようもなく泣きたくなった。