青い道路標識を掲げた白い高架は、今宵も闇の中に佇んでいた。

ヘッドライトを光らせながら規則的に道路を行き交う車の流れを、じっと見下している。

高架には、誰もいなかった。

せわしない夜の街で、そこだけ切り取られたかのように、ひっそりとした静けさに包まれている。

午後九時には、まだなっていない。

それに、今日は雨月の塾がない木曜日だ。

だから彼女はここにいなくて当然のはずなのに、俺はどういうわけか、彼女がいないことにひどくがっかりしていた。

もう一生彼女に会えないような気さえしてくる。

――大丈夫だ、明日になったらまたきっと会える。