冬夜はやっぱりずるい、ずる過ぎる。

ただでさえ死にたがりのこんなにも悲しませるんだから、最低だ。

いっそのこと彼に出会わなかったら、こんな虚無感とは無縁だったのに。

こんなに胸を痛めることも、こんなにみっともなく泣くこともなかったのに。

「うっ、うっ……」

涙はいつまでも止まる気配がなくて、私は子供みたいに声を上げながら泣き続けた。

つらくてつらくて、のたうち回るほど苦しくて。

冬夜を憎み、悲しみ、そして責めた。

どうしてもうこの世にいないくせに、私と出会ったのって、いないはずの彼を責め続けた。

そしてようやく泣き止んだ頃、空っぽの心が導きだしたのは、たったひとつの素朴な感情だった。

冬夜に、会いたい。

彼の絶望に、寄り添いたい。