「よかった、です。付き合ってたら、どうしようかと思いました」

「……。」



あからさまに『よかった』って言われて……いよいよ困る。


バカな俺でもわかるくらいの好意に、なんも言葉が出てこない……。



「あーっと、私もうほんと教室戻んなきゃ。すぐるも戻るでしょ?」

「う、ん、、」

「てことだから、じゃあこの辺で失礼しますね、かわい子ちゃん」

「はい、…」

「またどこかで会いましょうねー!」



あずさに腕を引っ張られて、強引に、廊下を進む。


俺、今、あずさに助けられた……のか?



多分、助けられた……と、思う。


てことは、俺が困ってたの、バレてる?



「あの子じゃないんでしょ?すぐるを虜にする、1年女子」

「…、」

「今の子じゃないんでしょ?」



なんでわかんのか……あずさの勘は、意外と鋭い。



「違う。」

「やっぱな」

「……。」



なにをどう思って愛原さんではないって思ったのか。


1年の女子とあんな雰囲気で話してれば、誰だって誤解しそうなもんだけど。


俺の好みとか、好きそうな子とか、そんな話一切したこともないあずさが、一体なにを感じ取ったのか。


その答えはわかんないまま、コーヒー牛乳を飲みながら教室まで二人で歩いた。