だけど絶対俺にはわかんない。


直人と瞬くんが異様に盛り上がる女子の話だって、俺はいつも、2人の間でなんとなく聞いてるだけ。


そんな俺が、瞬くんの『どう思う?』に、答えてやれるわけがない。




「大ちゃん、この雑誌の袋とじ、まじやべーぞ!」

「……。」

「見るか?見たいか?ん?ん?」

「……雄介、うるさい。」





悩み抜いて、やっぱり理由を聞こうと思ったのは、昼休み。



今日は木曜日。


木曜日と言えば、瞬くんの好きな中華丼が日替わりであるから、お昼は学食にいるはずだ。



「大ちゃん、今日学食?」

「俺、ちょっと瞬くんとこ行ってくる。」

「うん?」



学食に向かう廊下は、昼だけあって賑わってるかと思ったけど、まだ早いからか、いつもより人は少ない。


こんな早く行ってもまだ瞬くんいねぇかって、足を止めたのは、購買の手前。



立ち止まった購買前で、行き交う生徒たちの中……


ガコン!って音が、どうしてか無性に耳に響いた。


自販機から、飲み物が落ちてくる音。



走って来たから、俺も喉渇いてるって、無意識に思う。


とりあえずなんか買おうって……目を向けた、自販機の前に。





1人の女の子が、いた。