「お前の個人的雑用係じゃないんじゃーー!」

「……。」



嬉しくってニヤけてんのがバレそうで、あずさの声は無視して逃げるように教室に入った。



「あ、大ちゃんやっと来た」

「お前どこ行ってたんだよ」

「瞬くんとこ。」

「は、なんでそれでそんな嬉しそうなの」

「どんだけ好きだよ、春田のこと」



旗係が集まる机に座って、ニヤケを堪える。


堪えても口角が上がるから、咳払いで誤魔化した。



「こいつら旗係の1年ね」

「桑野です」

「斉藤です」

「庄司です」



1年男子の自己紹介が終わって、名前を頭に入れる。


いや、入れようと思ったんだけど、……もう忘れたっぽい。


だって俺、今はどうしたって違うことでいっぱいだし。



「とりあえず今日は顔合わせってことで、終わったし帰る?」

「よっしゃ、帰ろ帰ろー!」



雄介が真っ先に鞄を持ったのと同時、ドアんとこからあずさが叫ぶ。



「ねー誰か帰る人~?あっ、雄介帰るの?一緒に帰ろ~ぜ!」

「んぁ~、またかよ」

「だって1人で帰るのつまんないじゃん!」