「……いない。」



全然見つかんなくて、仕方ないから教室に戻った。


教室にはあずさがいるけど、なにがあったのかをあずさに聞いてもどうせ答えてくれるわけない。


放課後、もっかい瞬くんを探しに行ってみようって決めて、5時間目を過ごす。


俺のことが好きな瞬くんだから、今までなら1日1回は校内で会えたはずなのに。


体育祭関係で生徒会が忙しいのか、それともただすれ違ってるだけなのか、今日は本気で全然会えない。




5時間目の古典、6時間目の世界史は、ひたすら教科書に落書きの時間。


落書きしてるとあっという間に時間が経って、チャイムが鳴ると同時に席を立った。



「大ちゃーん、旗係、ここの教室集合だってよー」

「ん、」



放課後は、旗係はこの教室で集まるらしいけど、その前に。


瞬くんをどこにも逃さないために、机の上に教科書を開きっぱなしで教室を出た。


急いで階段を下りて、渡り廊下を渡って、また階段を上って、……真逆にある瞬くんの教室は、ひたすら遠い。


だけど今ならまだ教室にいるはずだから、超ダッシュで廊下を走る。