「俺のことより、あずさは、」
「すぐるくん。その子との未来を望むなら、自分から動かなきゃ始まらないのだよ」
「…、」
「きっかけなんて、いくらでも自分で作れんだから。待ってるだけじゃ、なーんにも始まるわけがないんだよ」
結局あずさと瞬くんになにがあったのか、聞けないまま。
なにを相談したわけでもない俺にアドバイスをくれたあずさは、自分のことなんてなんにも言わないでバスに乗って帰っていった。
もしかして、まじで別れたんかなって……すっかり忘れてた瞬くんの、あの言葉を思い出す。
『あずと別れようと思う』って言ってた、あの言葉。
あずさの様子が変だったから、瞬くんとなんかあったのかもって漠然と思ってたけど。
その前に俺、瞬くんからちゃんと相談されてたじゃん。
あの日、やっぱ話だけでも聞こうて、学食まで走ったあの日。
突然現れたあの子の存在に気を取られて、言われたことも、話を聞いてやんのも、今の今まですっかり忘れてた……